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在宅医療経営ラボ|構造設計の専門家

設計シリーズ 第6弾|医師負荷分散設計

その疲弊は、
「医師不足」ではない。
「院長依存」である。

医師が採用できない。医師が疲弊している。
院長が不在だと現場が回らない——
原因は人材不足ではなく、構造の問題です。

「医師が疲弊している」「医師の採用がうまくいかない」「院長が不在だと現場が回らない」——こうした悩みを抱えていませんか?

この記事では、多くの在宅医療クリニックが「医師不足」だと誤解している問題の本当の原因と、2026年度の制度動向を踏まえた「医師負荷分散設計」の方法を解説します。

第5弾では「判断基準設計」を取り上げました。判断基準が整っても、院長一人がすべてを担う構造のままでは、いずれ限界が来ます。ここからは「組織を回す設計」から「成長し続けるための経営設計」へとテーマが移ります。

この記事でわかること

  • 「医師疲弊」「医師が定着しない」の本当の原因
  • 「院長依存」というクリニック特有の構造リスク
  • 紹介手数料900億円のニュースが示す、人材依存経営の限界
  • 2026年度改定が示す「医師不足時代」の本質
  • 医師負荷分散設計の実装ステップ

「医師が足りない」ではなく「院長に依存している」

訪問診療クリニックの院長から、こんな悩みをよく耳にします。

「医師を採用しても、すぐ辞めてしまう。」

「自分が休むと、クリニックが回らない。」

これらを「医師不足」「採用難」の問題として捉えるクリニックがほとんどです。しかし26年間・700件以上の現場を見てきた中で、見えてきた本当の原因は別にあります。

多くの在宅医療クリニックは、医師不足で苦しんでいるのではありません。「院長依存」で苦しんでいるのです。

院長が一人で担っている業務を書き出すと、こうなっていないでしょうか。

  • 診療する(外来・訪問)
  • 医療的判断をする
  • 電話対応をする
  • クレーム・苦情対応をする
  • 新患の営業・地域連携をする
  • スタッフの採用・面接をする

これでは、院長という「個人」の体力と時間に、クリニックという「組織」の存続が懸かっている状態です。これは構造として崩壊する設計です。

📝 自己診断:院長先生のクリニックはどうですか?

・採用した医師が1年以内に辞めることが多い

・自分が休むと、診療や判断が止まる業務がある

・スタッフからの電話確認が、診療中も鳴り続ける

1つでも当てはまれば、「院長依存」の構造が経営リスクになっている可能性があります。

「医師採用がうまくいかない」を裏付けるデータ——紹介手数料、年900億円

「医師を採用したいが、なかなか決まらない」「採用できても定着しない」——これは個別のクリニックだけの悩みではありません。2026年、医療業界全体でこんなニュースが報じられました。

「医師・看護師らの紹介手数料が年900億円に迫り、病院経営を圧迫している。」

看護師や医師らを確保するため人材紹介業者に支払う手数料が膨らみ、医療機関の経営を圧迫していることから、厚生労働省は手数料が無料のハローワークの機能を強化する方針を示しました。

約881億円 2024年度 医師・看護職の紹介手数料総額
約6割増 看護職の手数料 2019年度比
100万円 看護師1人あたりの手数料(高い場合)

出典:読売新聞オンライン「医師・看護師らの紹介手数料が年900億円、病院経営を圧迫…無料のハローワーク機能強化へ」

紹介手数料は通常、就職した職員の年収の20〜30%が相場とされています。都内のある中規模病院では、看護師ら31人を紹介業者を通じて雇い、当直医の確保も含めると手数料総額が約4000万円に上り、物価高や既存職員の給料増も重なって赤字を計上したケースが報告されています。

⚠️ これは中規模病院だけの話ではありません

「うちは病院じゃないから関係ない」——そう思われるかもしれません。しかし在宅医療クリニックのスケールに翻訳すると、これはより深刻な問題になります。

「医師が定着しない」本当の理由——在宅医療クリニックでは1人の離職が経営を揺るがす

中規模病院は看護師31人体制で4000万円の手数料負担でした。これを在宅医療クリニックの規模に当てはめると——

中規模病院

看護師・医師 数十名体制

1人の離職 → 経営への影響は限定的

在宅医療クリニック

看護師・医師 数名体制

1人の離職 → 訪問件数・診療報酬に直結

在宅医療クリニックでは、医師1人の離職・採用ミスが、クリニック全体の経営を直接揺るがします。

そして「医師が定着しない」「医師が疲弊する」最大の原因は、多くの場合——

  • 院長への確認・相談が多く、現場の自由度が低い
  • 夜間対応・緊急対応の負荷が特定の人に偏っている
  • 「この働き方を何年も続けられるか」という将来不安

紹介業者への依存を減らす本質的な対策は、採用コストを削ることではなく「医師が定着する構造」を作ることです。

📝 自己診断:採用した医師・スタッフはなぜ辞めましたか?

退職理由を振り返ってみてください。「給与」「待遇」だけでなく、「自分で判断できる範囲が狭かった」「夜間対応の負荷が重かった」という声はありませんでしたか。

それは個人の問題ではなく、院長依存の構造が引き起こしている離職である可能性があります。

「うちのクリニックも採用コストが膨らんでいる」と感じたら——

まずは無料診断で現状を確認してみてください LINE で無料診断を受ける →

2026年度改定が示す「医師不足時代」の本質

2026年度の診療報酬改定は、表面的には賃上げ支援に見えます。しかし本質は別にあります。

持続可能な医療提供体制をどう構築するか——これが制度設計の根底にある問いです。

今後さらに深刻化が予想される課題は次の4つです。

  • 医師不足 在宅医療を担う医師の絶対数が増えにくい構造
  • オンコール負担 24時間対応への恐怖が在宅医療への参入障壁になる
  • バーンアウト 医師個人の限界を超えた負荷が離職・閉院につながる
  • 採用難 人材紹介への依存度が上がり、コストが経営を圧迫する

院長一人の頑張りで支えられている在宅医療クリニックほど、これらのリスクに対して脆弱です。

💡 「院長が不在だと回らない」は、能力の証明ではなく経営リスク

「自分が頑張れば乗り切れる」という発想こそが、最大の経営リスクです。院長が学会・休暇・体調不良で不在になった瞬間に止まる現場は、利益を守るどころか、利益を消し去ります。

負荷分散は福利厚生ではない。経営戦略である。

「医師の負担を減らそう」という話は、多くの場合「働き方改革」や「福利厚生」の文脈で語られます。しかし——

医師負荷分散設計の本質は、利益を守るための経営戦略です。

視点 福利厚生としての発想 経営戦略としての発想
目的 医師の健康・満足度向上 離職防止・採用コスト削減・診療報酬の安定確保
優先度 経営が安定したら検討 経営の前提条件として最初に設計
数値化 されにくい(「働きやすさ」は曖昧) される(離職率・採用コスト・訪問件数で測定可能)

負荷分散を「コスト」ではなく「投資」として捉え直すことが、2026年度以降の在宅医療経営における最重要の視点です。

医師負荷分散設計の具体的な4項目

  1. 業務の切り分け設計 医師が担うべき業務(医療的判断)と、他職種に委ねられる業務(事務・連絡・調整)を明確に分離します。第3弾「役割分担設計」とも直結します。
  2. オンコール体制の分散設計 院長一人がすべての夜間対応を担う体制から、共同オンコール・連携医療機関とのシフト分散へ移行します。第7弾「夜間対応設計」で詳しく解説します。
  3. 診療・訪問件数の上限設計 「来た患者は全員受け入れる」という姿勢は、長期的に医師を消耗させます。医師1人あたりの適正患者数・訪問件数を設計し、それを超える依頼は連携先に振り分ける仕組みを作ります。
  4. 採用・育成の内製化設計 紹介業者への依存度を下げるため、スタッフ紹介・直接応募の導線を整備し、「離職しない構造」(役割分担・情報共有・判断基準の各設計)を土台として育成体制を作ります。

この4項目を設計したクリニックでは、院長の負荷が下がるだけでなく、採用コストの削減・診療報酬の安定確保という経営数値にも直結します。

「設計された医療」へ——2026年度以降の経営の前提

負荷分散設計が機能すると、

・院長が倒れても現場が止まらない

・採用コスト(紹介手数料)への依存度が下がる

・スタッフの離職が減り、診療報酬の基盤が安定する

・医師自身が長期的に在宅医療を続けられる

頑張る医療から、設計された医療へ。これが2026年度改定が静かに示しているメッセージです。

📝 最後に、もう一度確認してください

院長先生のクリニックでは、今どうなっていますか?

・医師の採用・定着がうまくいかない

・院長が不在の日は、診療や判断が止まる

・「医師がもう1人いれば解決する」と思っている

これらは医師の人数の問題ではなく、構造設計の問題かもしれません。人を増やす前に、まず構造を診断することをお勧めします。

在宅医療経営ラボの支援内容

在宅医療経営ラボでは、「医師負荷分散設計」を含む10の設計を統合的に支援します。まずは無料のLINE診断で、現状が「人材不足」なのか「院長依存の構造問題」なのかを一緒に確認しましょう。

  1. 現状診断収益・人員・動線データをもとに、構造上の課題を可視化します。
  2. 設計提案外来と訪問診療が両立する運営モデルを設計します。
  3. 実装支援現場への落とし込みまで、一貫してサポートします。

在宅医療 設計費

現在、月3件限定でモデルケースとして受け付けています。実績構築を目的とした特別価格です。

【毎月3件限定】初回設計費
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100,000円
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300,000円
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※現在、導入初期につき限定価格にて実施しております。

まずはLINE無料診断から。

「医師不足」か「院長依存」か——現状を一緒に確認します。

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覚悟ではなく仕組みで支える24時間365日——夜間対応設計

在宅医療最大の課題である夜間対応。共同オンコール・機能強化型在支診・地域連携——すべては仕組みの話です。次回は「夜間対応設計」を解説します。

この記事を書いた人

河井貴幸|在宅医療設計士

医業経営アドバイザー/在宅医療経営ラボ(有限会社メディカルラボ)。外来・訪問診療・人員・集患・動線の統合設計を専門とする「在宅医療アーキテクト」として、クリニックの構造的課題に取り組む。