在宅医療経営研究所(ラボ)|構造設計の専門家
設計シリーズ 第7弾|夜間対応設計そのオンコール疲弊、
人員不足が原因では
ありません。
夜間電話地獄・看護師離職・院長先生が眠れない——
26年間・700件の現場で見えた「本当の原因」を解説します。
この記事は、こんな院長先生に向けて書いています。
・夜間のオンコールが怖くて、ゆっくり眠れない
・「夜間対応が辛い」を理由に看護師が辞めた
・人を増やせば解決すると思っているが、うまくいかない
「夜間対応が辛い」——院長先生だけの問題ではありません
在宅医療に踏み出した院長先生が、最初にぶつかる壁があります。
「夜中に電話が鳴るたびに飛び起きる。いつまで続くのか。」
「オンコールが嫌で、ベテラン看護師がとうとう辞めてしまった。」
「夜間対応ができる医師を採用したいが、誰も来ない。」
これは、在宅医療を始めたクリニックのほぼすべてが通る道です。そして多くの院長先生が「人が足りないから仕方ない」と諦めます。
しかし、これは人員不足の問題ではありません。
26年間・700件の現場で見えた「夜間対応崩壊の共通点」
26年間、東京の在宅医療クリニックの現場を見続けてきました。夜間対応で苦しんでいるクリニックには、ほぼ例外なく共通点があります。
① 判断基準がない どの電話が「今すぐ」で、どれが「朝まで待てる」か、誰も決めていない
② 電話ルールがない 患者・家族から直接、院長先生や担当看護師の携帯に電話がかかってくる
③ 役割分担がない 夜間対応の負荷が院長先生一人、または特定の看護師一人に集中している
これは第2弾・第3弾・第5弾で解説した「電話導線設計」「役割分担設計」「判断基準設計」が、夜間には存在しないという状態です。
昼間は何とか回っている設計が、夜間には完全に崩壊している——これが夜間対応問題の正体です。
3つ以上当てはまる場合、夜間対応の構造設計が機能していない可能性が高い状態です。人を増やす前に、まず設計を診断してください。
夜間設計がないと起きる「離職の連鎖」
夜間対応の設計がないクリニックでは、こんな連鎖が起きます。
夜間電話・オンコールが特定の人に集中する
↓
「この働き方は続けられない」——疲弊・離職
↓
残ったスタッフへの負荷がさらに増加
↓
次の離職——採用コストが膨らむ
↓
院長先生のオンコール負担がさらに増加
↓
院長先生のバーンアウト・クリニックの存続リスク
この連鎖を「採用」で解決しようとするクリニックが多い。しかし新しく採用したスタッフも、同じ設計のなかに入れば同じように疲弊します。
採用で解決できない問題は、設計で解決するしかありません。
夜間対応設計で変わること
夜間対応設計が機能すると、現場にこんな変化が起きます。
どんな電話でも院長先生・担当看護師が対応
夜間の負荷が「誰かの犠牲」で支えられている
疲弊→離職→採用コスト増の連鎖が止まらない
緊急度に応じて「誰が・どこまで対応するか」が明確
夜間の負荷がローテーションで分散されている
スタッフが「この職場なら続けられる」と感じる
重要なのは、夜間対応設計は「夜間だけの問題」ではないということです。
夜間対応設計が整うと、スタッフの定着率が上がり、採用コストが下がり、診療報酬加算(機能強化型在支診)も狙えるようになります。夜間対応は、経営全体に直結する設計です。
夜間対応設計に必要な「3つの柱」
夜間対応を設計するうえで、必ず整えるべき3つの柱があります。
- トリアージ設計 夜間電話を「今すぐ往診が必要」「翌朝対応でよい」「看護師判断で対応可」に分類する基準を作ります。これがないと、すべての電話が院長先生に集中します。
- 負荷分散設計 オンコール当番のローテーション・共同オンコール・在支診の活用など、特定の人への集中を構造的に防ぐ設計をします。「誰かの善意」ではなく「仕組み」で支えます。
- 地域連携設計 自院だけで完結できない夜間対応を、近隣クリニック・訪問看護・地域の医療ネットワークで補完する導線を設計します。連携は「関係性」ではなく「設計」で機能します。
この3つの設計は、クリニックの規模・体制・地域によって最適解が異なります。「どの設計が院長先生のクリニックに合っているか」は、現状診断なしには判断できません。
1つでも「言い切れない」があれば、夜間対応設計の見直しが必要です。問題が小さいうちに設計を整えることが、経営を守ることに直結します。
在宅医療経営研究所(ラボ)の支援内容
在宅医療経営研究所(ラボ)では、「夜間対応設計」を含む10の設計を統合的に支援します。まずは無料のLINE診断で、院長先生のクリニックの夜間対応がどの段階にあるかを一緒に確認しましょう。診断は無料・売り込みはしません。
- 現状診断夜間対応の実態・負荷・設計の有無を可視化します。
- 設計提案クリニックの規模・地域・体制に合った夜間対応モデルを設計します。
- 実装支援現場への落とし込みまで、一貫してサポートします。
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- 第1弾|在宅医療の結果は9割が「設計」で決まる
- 第2弾|訪問診療クリニックの「電話地獄」は設計で終わる
- 第3弾|「先生、どうしますか?」が現場を壊す——役割分担設計
- 第4弾|「誰も知らない」が現場を止める——情報共有設計
- 第5弾|「その判断、誰がするんですか?」——判断基準設計
- 第6弾|院長先生が倒れる組織は設計ミスである——医師負荷分散設計
- 第7弾|夜間対応は覚悟ではなく設計で決まる——夜間対応設計(本記事)
- 第8弾|集患・訪問件数設計(近日公開)
- 第9弾|クリニック併設訪問看護ステーション開設(近日公開)
- 第10弾|総集篇・河井貴幸は何ができるか(近日公開)
「患者が来ない」「紹介が来ない」——その原因は営業力でも立地でもなく、紹介導線が設計されていないことです。次回は問い合わせ獲得の本命記事「集患・訪問件数設計」を解説します。
河井貴幸|医業経営アドバイザー・在宅医療設計士
在宅医療経営研究所(ラボ)/情報発信ブランド:在宅医療経営ラボ/運営:有限会社メディカルラボ。26年間・700件以上の在宅医療クリニックの現場を見てきた経験をもとに、外来・訪問診療・人員・集患・動線の統合設計を専門とする「在宅医療アーキテクト」として、クリニックの構造的課題に取り組む。