参謀日誌|まだ、誰も困っていなかった

開業して間もないクリニックにお邪魔することがあります。今回は、まだ何も問題が起きていない現場で、感じたことの話です。

開業して半年ほどのクリニックに、月に一度お伺いしていました。経営数字は悪くありません。患者数も、少しずつ増えています。院長先生も「今のところ、順調です」と話していました。

その日、待合室で少し時間ができたので、受付の様子を眺めていました。電話の鳴り方、スタッフ同士のやり取り、患者さんが来たときの動き。特別なことは、何も起きていません。

ただ、電話を取るときの間が、少し気になりました。呼び出し音が一回多く鳴ってから、受話器が上がる。一人だけではなく、何人か同じ間でした。

数字には、まだ出ていない

これだけでは、何も問題ではありません。経営数字にも表れていませんし、院長先生も気にしていませんでした。強いて言えば、少し気になった、というだけのことです。

ただ、この「一回多く鳴ってから取る」という間は、電話対応が誰の仕事なのか、はっきり決まっていないときに出やすい間です。目の前の作業を終えてから出る、誰かが出るだろうと一瞬待つ、そうした小さな迷いが、電話の鳴り方に表れることがあります。

今はまだ、患者数が少ないので大きな支障はありません。ですが、このまま件数が増えていったとき、この一回分の間が、電話を取りこぼす一回に変わっていく可能性があります。

問題が数字に出たときには、すでに現場では長く続いていたことがほとんどです。数字より先に、現場の間や動きに表れることがあります。そこに気づけるかどうかは、理屈ではなく、場数によるところが大きいと感じています。

困る前に、聞いてみる

院長先生に、電話対応の役割分担を聞いてみました。「特に決めていません。手が空いた人が出ています」という答えでした。悪いことではありません。今の規模では、それで回っています。

「今のうちに、少しだけ決めておきませんか」とだけ伝えました。何が問題か、どう直すべきか、詳しくは話しませんでした。困ってもいないことに、対策を並べても仕方がありません。

院長先生は「言われてみれば」という顔をしていました。その日は、それだけで十分でした。

開業して間もない時期の経営相談も承っております。ホームページのお問い合わせフォームからご連絡ください。まだ何も困っていない、という段階でも構いません。

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