在宅医療経営研究所(ラボ)|構造設計の専門家
設計シリーズ 第9弾|訪看開設設計訪問看護ステーション開設は、
「許認可」ではなく
「設計プロジェクト」である。
許認可取得後に崩壊するケースが後を絶ちません。
開設できるかどうかではなく、継続できるかどうか——
26年・700件の現場知見から解説します。
この記事は、こんな院長先生に向けて書いています。
・クリニック併設の訪問看護ステーション開設を検討している
・訪看を開設したが赤字が続いている
・訪看立ち上げに失敗したケースを聞いて不安になっている
「訪看を開設したのに、なぜうまくいかないのか」
クリニック併設の訪問看護ステーション開設を検討している院長先生、あるいはすでに開設したものの苦しんでいる院長先生から、こんな声をよく聞きます。
「許認可は取れた。でも看護師が集まらず、利用者もなかなか増えない。」
「訪看を開設して1年。赤字が続いていて、閉鎖を考えている。」
「他のコンサルに相談したが、手続きのことしか教えてもらえなかった。」
訪問看護ステーション開設の相談を受けると、多くのクリニックが「許認可の取り方」「指定基準」「書類の準備」に関心を持っています。しかしそれは、問題の本質ではありません。
訪問看護ステーションは、開設できるかどうかではなく、継続できるかどうかが問題です。そして継続できるかどうかは、許認可ではなく「設計」で決まります。
許認可取得後に崩壊するクリニックに共通する「5つの設計不在」
26年間・700件以上の現場を見てきた中で、訪看開設後に崩壊するクリニックには例外なく共通点があります。
① 採用設計がない
「看護師を採用してから開設しよう」と考えているが、採用できない。あるいは採用できても定着しない。
② 利用者確保設計がない
開設してもケアマネからの紹介が来ない。クリニックの患者をそのまま訪看に移行しようとするが、制度上の壁にぶつかる。
③ 収益設計がない
何人の利用者で黒字になるかを計算していない。損益分岐点を把握しないまま開設して赤字が続く。
④ 連携設計がない
クリニックと訪看の情報共有・役割分担・緊急時対応の連携が曖昧なまま運営が始まる。
⑤ 看取り・ACP設計がない
在宅での看取りを支える体制・患者・家族とのACP(人生会議)の進め方が設計されていない。
これらは開設後に発覚する問題ではなく、開設前の設計段階で決まっている問題です。
2つ以上当てはまる場合、許認可を取得する前に設計を整える必要があります。先に進む前に一度立ち止まってください。
なぜ「机上のコンサル」では通用しないのか
訪問看護ステーション開設に関するコンサルティングは多く存在します。しかし多くの場合、提供されるのは——
- 指定申請の手順と書類の準備
- 人員基準・設備基準の解説
- 加算算定のアドバイス
これらは「許認可を取るための情報」であり、「継続できる訪看を作るための設計」ではありません。
許認可の取り方・書類の準備・加算の取り方
→ 開設はできる。でも継続できない。
開設後3ヶ月・6ヶ月・1年で何が起きるか。どこで崩壊するか。それを防ぐ設計とは何か。
→ 開設後も継続できる構造を作れる。
26年間・700件以上の現場を見てきた経験は、書籍にも制度解説にも書かれていない「現場で起きること」の知見です。これは経験でしか得られません。
訪看開設設計の6つの柱
継続できる訪問看護ステーションを作るために、開設前に設計すべき6つの柱があります。
- 採用設計 「看護師を募集する」ではなく、「この訪看で働きたいと思わせる職場設計」から始めます。給与・働き方・夜間対応の頻度・キャリアパスを設計し、採用広告より先に「定着する職場の構造」を作ります。
- 収益設計(損益分岐点設計) 開設前に「何人の利用者・何件の訪問で黒字になるか」を月次で計算します。看護師1人あたりの生産性・訪問単価・固定費を数値化し、赤字期間の資金計画まで設計します。
- 利用者確保設計(紹介導線設計) 第8弾で解説した紹介導線設計を、訪看に特化した形で構築します。クリニックの患者だけでなく、ケアマネ・病院地域連携室・地域包括支援センターからの紹介が自然に発生する仕組みを作ります。
- クリニックとの連携設計 クリニックと訪看の情報共有・役割分担・緊急時の連絡フローを設計します。「同じ建物にある」だけでは連携は生まれません。構造として設計することで、医療の質と業務効率が同時に上がります。
- 看取り・ACP設計 在宅での看取りを支える体制を設計します。患者・家族との意思確認(ACP)の進め方・緊急時の対応フロー・多職種連携の体制を整えることで、「最後まで在宅で」を実現できる訪看になります。
- 成長設計(スケールアップ設計) 開設時は小規模でも、3年後・5年後にどう成長させるかを設計します。訪問件数の上限・看護師の採用計画・サービス範囲の拡大——これを先に設計しているクリニックとそうでないクリニックでは、3年後の経営規模に大きな差が生まれます。
訪看開設は「競争力」ではなく「連携を再現できる設計」が決め手
2026年度の診療報酬改定では、訪問看護の評価適正化が進んでいます。量より質が求められる時代になっています。
訪問看護ステーションを「持つこと」が競争力ではありません。医療×介護の連携を再現できる設計があることが競争力です。
クリニック併設の訪看が機能すると——
・院長先生の訪問診療と訪看の連携が密になり、医療の質が上がる
・ケアマネ・地域包括からの信頼が高まり、紹介が増える
・看取りまで一貫して支えられる在宅医療体制ができる
・収益の安定と診療報酬加算の最大化が同時に実現できる
1つでも当てはまれば、一度現状をお話しください。許認可の話ではなく、設計の観点から現状を整理します。
在宅医療経営研究所(ラボ)の訪看開設支援
在宅医療経営研究所(ラボ)では、クリニック併設訪問看護ステーションの開設設計を専門的に支援しています。許認可の手続きではなく、「開設後も継続できる構造設計」が私たちの提供価値です。
採用設計・収益設計・利用者確保設計・連携設計・看取り設計をワンパッケージで提供します。
1,000,000円(税込)
※個別のご相談内容により異なります。まずはLINEでご相談ください。
- 現状診断開設前・開設後の現状を診断し、設計上の課題を可視化します。
- 設計提案6つの柱に沿った開設設計を提案します。
- 実装支援採用・利用者確保・連携の実装まで、一貫してサポートします。
許認可の前に、一度現状をお話しください。設計の観点から整理します。
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- 第1弾|在宅医療の結果は9割が「設計」で決まる
- 第2弾|訪問診療クリニックの「電話地獄」は設計で終わる
- 第3弾|「先生、どうしますか?」が現場を壊す——役割分担設計
- 第4弾|「誰も知らない」が現場を止める——情報共有設計
- 第5弾|「その判断、誰がするんですか?」——判断基準設計
- 第6弾|医師不足ではなく院長先生依存——医師負荷分散設計
- 第7弾|夜間対応は覚悟ではなく設計で決まる——夜間対応設計
- 第8弾|訪問件数が伸びないのは営業不足ではない——集患・訪問件数設計
- 第9弾|訪看開設は許認可ではなく設計プロジェクトである——訪看開設設計(本記事)
- 第10弾|総集篇・河井貴幸は何ができるか(近日公開)
電話地獄・院長先生依存・夜間疲弊・訪問件数・訪看赤字——700件の現場に共通していたのは「設計の不在」でした。シリーズ最終回は、河井貴幸が何者で、何ができるかを初めて語ります。
河井貴幸|医業経営アドバイザー・在宅医療設計士
在宅医療経営研究所(ラボ)/情報発信ブランド:在宅医療経営ラボ/運営:有限会社メディカルラボ。26年間・700件以上の在宅医療クリニックの現場を見てきた経験をもとに、クリニック併設訪問看護ステーションの開設設計を専門領域として支援する「在宅医療アーキテクト」。