事例4

【案件概要】

事例 1 で紹介した医療法人では、先代の院長からご子息へと経営が引き継がれました。しかし、外部から 招聘された新院長には診察と管理の能力が不足しており、労務管理から経理に至るまで、クリニック運営の最も 重要なポジションをご子息(理事長)の奥様が引き継ぎ、その結果、運営は完全に停滞してしまった案件です。

【人材マネジメントの問題と解決】

詳細はさておき、主要な問題点は以下のとおりです。
①受付窓口で、患者さんから院長の診察に関する苦情が頻繁に寄せられています。さらに、院長の体面 を守るためのパワーハラスメントにより、医療事務スタッフは疲弊しています。
②事務部門の事務長と看護部門の看護師長は部下の管理を全く行っておらず、事務長は不正をし放題 です。
➂資金繰りから支払いに至るまでの経理管理が全く行われておらず、顧問税理士がいるにも関わらず、 チェック機能がありません。
➃行政への届出記録書類が整備されていないため、過去の記録がいつ、どのように行われたかを示すも のが存在しない。
この問題は前院長の時代から存在し、新院長が能力不足であるため、さらに悪化しているようです。
クリニックの運営に必要な実務経験や知識がない奥様に、問題解決を急に依頼するのは非常に難しいで しょうが、奥様は全力で取り組んでいらっしゃいました。

「弊害」という表現を使うことになりますが、小規模な医療機関では、経費削減のために院長(理事長)の 奥様が運営に関わることがよくあります。奥様が医療知識や経理、人事管理、対人スキル等を持っていれば 問題ありませんが、そうでなければ、それらを習得するのには相当な時間と努力が必要です。現場のスタッフは、院長(理事長)の奥様を表面上は特別扱いしながら、自分たちの都合の良いように利用することがあります。
問題解決に先んじて、理事長から運営権限を文書で譲り受け、奥様の補佐として行動しました。全スタッ フへの通知、組織図の作成、指示・命令系統の確立を行い、院内の全ての問題を奥様に報告し、補佐役 がリアルタイムで解決策を模索しました。
奥様に診療知識、経理処理、人材管理、対人スキルなどを教えつつ業務を進める中で、約半年間に医療 事務の事務長を含むパートスタッフ 4 名と看護師長が自主退職しました。直ちに医療事務常勤 2 名を 新規採用し、看護師長を交代させ、元々人員が過剰だったため適正人員で業務を再開しました。
能力に 欠ける院長については、採用時の雇用契約期間が 1 年であったものを次の更新時に半年に短縮し、その 期間が満了した後は更新しないことにしました(事実上の解雇です)。
現在、奥様は実力を身につけ、クリニックの運営に自信を持って積極的に取り組まれています。

期 間:12ヶ月
訪問日:週3日/月12回 (他社月1回~2回)
訪問時間:1回6時間 (他社3時間)
時間単価:10,000円 (他社時間換算平均25,000円~)