(外来医療の需要は、2025年を境に減少し始める)

事例30

弊社は創業から25年にわたり、小規模クリニックの運営や医業経営、さらにコンサルティング業務を通じてサポートを行ってまいりました。
まず弊社の事業実績と基準として、経営分析でよく活用されるクリニックの大・中・小規模の目安を以下に示しますので、ぜひ参考にしてください。

・事業実績
都内の無床クリニックは2024年12月時点で約13,567施設あり、そのうち約50%にあたる約6,780施設が医師1人のみの小規模クリニックと推測されます。弊社はこの25年間で600件以上の小規模クリニックと取引実績があり、シェアは約1割となります。事業比率は、在宅医療コンサルティングが5割、クリニック運営総合支援が4割、在宅療養支援診療所併設訪問看護ステーション開設が1割となっています。小規模から中規模への経営拡大実績が8割を占めています。

・主な依頼内容
開業・経営支援/財務・会計・税務/人事・労務管理/医療DX、IT導入/マーケティング、集患/法務、規制対応/患者サービス、運営改善/業規模の拡大/経営分析の問題と課題解決/医療法人化/在宅療養支援診療所併設訪問看護ステーション開設から運営/助成金、補助金の申請から採択まで。この中で、多くの小規模クリニックは「集患(マーケティング)と人材確保」が最も課題と感じてコンサルティング依頼する傾向があります。一方、経営安定フェーズに入ったクリニックは「法人化・税務最適化」に関心が移ることが多いです。

・小規模クリニック コンサルティング依頼チェックリスト(例)
Ⅰ. 開業前(準備期)
• 診療圏調査・競合分析
• 開業場所・物件選定サポート
• 資金計画・事業計画書作成
• 銀行融資・リース会社紹介・補助金申請
• 医療機器・内装設計のコスト最適化
• 開業届出・各種許認可サポート
• 人材採用計画・求人票作成
• ホームページ制作・広告ガイドライン対応

Ⅱ. 開業直後(立ち上げ期)
• 集患対策(HP/MEO/SNS運用、紹介医開拓)
• スタッフ教育(接遇・レセプト・電子カルテ操作)
• レセプト請求体制整備・診療報酬請求最適化
• 初期の資金繰り改善(未収金対策、コスト削減)
• 労務体制整備(就業規則・雇用契約書)
• 開業後フォローアップ(定期モニタリング)

Ⅲ. 成長期(安定・拡大期)
• 集患強化(口コミ対策・LINE公式活用・再診率向上)
• 医療DX導入(電子カルテ、予約・会計システム、オンライン診療)
• 財務改善(経費管理・キャッシュフロー最適化)
• 医療法人化検討(節税・分院展開を視野)
• 人事評価制度設計・スタッフ定着支援
• 新規サービス導入(自由診療、健診・予防接種拡充)
• 診療報酬改定対応

Ⅳ. 承継・出口戦略期
• 事業承継計画(親族承継 / 第三者承継)
• 医療法人の整理・M&A支援
• 資産承継・相続対策
• 院長リタイアメントプラン設計
• 承継後のスタッフ・患者引き継ぎ支援

※専門外の課題については、業務提携先と連携して対応しております。

・クリニックの大・中・小規模の目安

1. 医師数・職員ベース
  ・小規模:医師1名(院長のみ)・スタッフ数5~10人程度
  ・中規模:医師2~3名、スタッフ10~30人程度
  ・大規模:医師4名以上、スタッフ30人以上

2. 外来患者数ベース
・小規模:20人から50人前後
・小規模:50人から150人前後
・大規模:150人以上

3. 売上規模(年間)※診療科や保険点数によっては幅がありますが、おおよそのレンジ)
  ・小規模:5,000万円未満
  ・中規模:5,000万円~2億程度
  ・大規模:2億以上

ここから本題に入り、小規模クリニックでの外来診療から在宅医療への移行についてご説明いたします。入院医療と外来医療の受療率を見ると、入院医療の受療率は年齢とともに増加します。一方、外来医療の受療率は80~84歳でピークとなり、85歳以上では減少する傾向があります。これは、高齢になるにつれて通院が難しくなる患者さんが増えるためと考えられます。今後、高齢化が進むことで通院困難な患者さんがさらに増加
し、外来患者の確保がこれまで以上に難しくなることが予想されます。将来の人口推計と入院・外来医療の受療率をもとにすると、患者数は2025年にピークを迎える見込みです。外来医療需要の減少に備え、現在から在宅医療の取り組みを進めることが重要です。

損益分岐点は居宅患者40人、1日あたり訪問件数4人で、居宅患者のみで単月黒字化するには半年から1年かかります。ただし、施設訪問を組み合わせることで、その期間を短縮することが可能です。
在宅患者1人は外来患者5人に相当します。在宅医療には国から手厚い診療報酬が設定されています。
例えば、在宅療養支援診療所(在支診)を届け出ていない医療機関が在宅患者に月2回訪問診療を行った場合、1カ月間に算定できる診療報酬の患者単価は約5万3,000円です。一方、外来患者の場合、月1回の受診で患者単価は約5,200円となります。診療1回あたりの単価で比較すると、在宅患者1人は外来患者5人分に相当します。ただし、在宅医療には患家への訪問という手間があるため、単純な数字だけで比較することはできません。しかし、外来中心の小規模クリニックが経営を安定させる上で、在宅医療は有力な選択肢と言えるでしょう。

※2024年11月1日から、メディカルラボの【小規模クリニック業務トータルサポート(実務における実行支援と敏速な対応)】費用はコストパフォーマンスを向上させるために従来の低価格よりもさらにお得な料金に統一しております。
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