事例21
クライアント先の在宅療養支援診療所併設の訪問看護ステーションでは、「職員として“適正な看護”とは何か」が頻繁に話題になります。看護経験や技術は人によって理解が異なるため、看護サービスにばらつきが生じがちです。また、訪問看護は各職員が単独で利用者宅を訪問することが多いため、他の職員の看護実践が見えづらく、結果として看護の内容に差が生まれる傾向があります。
例えば、ある職員が利用者や家族の依頼に応じて契約外の部屋の掃除や雑用を引き受けたりします。その結果、次の利用者宅への訪問に遅れてしまう場合、これはステーション職員として適正な看護とは言えません。一方で、利用者や家族の役に立ちたいという思いが強い看護師は、契約外の依頼を断ることにジレンマを感じることもあります。また、利用者からは「あの職員はやってくれたのに、この職員はやってくれない」といった不満が生じる可能性があります。
だからこそ、ステーションの職員として“適正な看護”を実現するためには、なんでも屋ではなく、“質の高い看護提供”を行うというポリシーを示すキャッチフレーズを設定することをお勧めします。ステーションとしての軸を定めることで、自然と職員の対応にも一貫性が生まれるでしょう。
■質の高い看護を提供するためには
訪問看護ステーションでは、職員が働きやすい環境を整え、業務の効率化や質の向上を目指すことが重要です。法令を遵守し、安全な労働環境を確保することで、職員の満足度を高めることも求められます。
訪問看護は公共性の高い事業(介護保険制度の各サービスは、保険料と公費で賄われる)であることから、介護保険法に基づき、自治体には介護サービス事業者等に対する監督指導等の実施権限が与えられています。
都道府県・市町村が実施する指導および監査
指 導 | 集 団 指 導 | 制度管理の適正化 のための指導 | 指定事務の制度説明や介護保険法の趣旨・目的の周知および理解の促進、介護報酬請求に関わる過誤・不正防止に関する指導 |
実 地 指 導 | 運営指導 | 利用者の自立支援および尊厳の保持を念願に置き、制度管理の適正化とよりよいケアの実現に向けて、介護サービス事業者等の質の確保・向上を図ることを主眼として人員配置、設備、労働関係法遵守等に関する指導を実施 | |
報酬請求指導 | 報酬基準等に基づき必要な体制が確保されているか、個別ケアプランに基づきサービス提供がされているか、多職種との協議は行われているか等に関する指導を実施 | ||
監 査 | 報 告 等 | ・通報・苦情・相談等により介護給付に関わる基準に違反等がないか確認する必要がある場合に実地検査(報告や帳簿書類の提出等)を実施 ・基準違反に至らないときは改善報告書の提出を求める ・基準違反が発覚したときは、改善勧告→改善命令・公示→指定の効力の全部または一部停止→指定の取り消し順に措置を講じる |
管理者が法的要件を理解することで、事業所は法的トラブルや制度違反から守られるだけでなく、信頼性と信用性を向上させることができます。また、在宅医療サービスのニーズを把握し、密接に関連する加算制度の内容を理解することで、訪問看護ステーションが提供するサービスを適切に展開し、利用者に必要なケアを提供することが可能になります。
加算制度を理解し、それに基づいたサービスを提供できる訪問看護ステーションは、国や地域のニーズに応える事業所として発展する可能性があります。また、加算制度の内容を把握することで、他の訪問看護ステーションとの競争力を高めることも期待できます。質の高いサービスに対応した加算を提供することで、利用者や地域からの信頼を得ることができ、事業所の成長と繁栄につながるでしょう。
ステーション管理者の中には、労務管理、特に法律関連に苦手意識を持っている方が多くいます。メディカルラボでは、さまざまな訪問看護ステーションで、働きやすい職場環境づくりをサポートしています。
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